横山秀夫のクライマーズ・ハイ (文春文庫)を読んだ。

素晴らしい小説だった。帯に書いてあった解説の抜粋で「作家が一生に書く作品のなかでこの一作といえる作品」と絶賛されていた。その言葉を信じた。信じた通りだった。

元々、日航ジャンボ機が御巣鷹山に墜落した事故には強い関心を持っていた。事故当時、俺はまだ五歳だったからおそらくほとんど記憶に残っていないはずだ。けれど、たびたびテレビで当時を振り返る検証番組が報道され、そのたびに親が当時を振り返って「本当に大変な事故だった」と言うのを聞いて、「世界最大の航空事故」のイメージが俺の脳裏に刻み込まれていった。

そんな大事件を題材にした小説が売っていたら見過ごせない。読まないわけにはいかない。興味のある話題だから小説そのものが面白くなくてもなんとか読めるだろう、と考えもしたが、杞憂だった。抜群に面白かった。400ページ超の長編小説を丸一日かけて一気に読み終えてしまったのはいつ以来だろう。

520人が犠牲になった事故を題材にしているのだから、明るいお話にはなりえない。主人公である悠木も、英雄的な人物ではないし、胸がすくような立ち回りを見せるわけでもない。葛藤、葛藤、また葛藤の繰り返し。それなのにぐいぐい引き込まれて、続きを読みたくて仕方がなくなるのは、事故後一週間という怒濤の時間をまるで追体験しているかのようなスピードを感じさせる、横山秀夫の筆力によるのだろう。

解説にあるとおり、傑作と呼ぶにふさわしい小説だ。

クライマーズ・ハイ (文春文庫)
クライマーズ・ハイ (文春文庫)


今年の夏に映画化もされている。ドラマ化もされている。残念ながら気づいたときには映画の上映はあらかた終わってしまっていた。アマゾンによるとDVDの発売日は来年の元旦のようだ。先に映画のキャストを知っていたので、本を読みながらも悠木を演じる堤真一の姿をイメージしていた。映画も是非観たい。

クライマーズ・ハイ デラックス・コレクターズ・エディション
クライマーズ・ハイ デラックス・コレクターズ・エディション

クライマーズ・ハイ
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